地域への配慮と奉仕を重視するアメリカの政治システムには
多彩な集団が織りなす合従連衡の仕組みがあります。
アメリカでは、市民の政治的意見をまとめて政治機構に伝達する
役割を担うのが政党と利益集団です。
→ 利益集団の3類型
① 経済的利益の追求を目的に職域で形成される企業,業界団体,そして労働組合
② 公共利益を追求する団体
③ 単一の政策争点を追求する団体
アメリカでは、企業等団体の”直接的”献金は禁止されており、
その代わりに、政治活動委員会(Political Action Committee:PAC )
と呼ばれるものがあります。
PACとは、企業等団体によって設立された政治団体のことで、
そこに母体となる組織の構成員の個人献金を集積して政治献金をすることが
認められています。
■ 政治献金とロビイング
利益集団が政治的に影響を行使する方法には、政治献金,ロビイング,直接活動
といったものが挙げられます。
典型的に、政党幹部・関係委員会に所属する議員にPACを経由して
政治献金を行い、ロビイストを派遣します。
*ロビイストとは?-議員と企業をとりもつ仲介者
企業などの依頼を受けて政党幹部や議員に接触し、依頼者である
企業の政治的要望を伝達し、その実現に向けての努力を議員に取り次ぐ職業
・ 元議員やそのスタッフであった人、あるいは専門的弁護士が多く、有力な職業の1つ
・ 企業や業界団体は、恒常的に優秀なロビイストを雇用し、企業や業界団体が関係する
議会の委員会の有力議員に常時接触
・ ロビイストは委員会の動向を注意深く監視し、議員が必要とし、かつ依頼者にも
有利になるような政策情報を適時提供
参考:草の根ロビイング
議員の選挙区の有権者に直接的な働きかけを行い、有権者の自筆による手紙や葉書を議員宛てに送付します
(公共利益を追求する市民団体などが得意とします)
・参考文献
堀本武功『現代アメリカ入門』明石書店(2004年)